先日、唯一欲しい、お金をかけてやりたいとしたら「今住んでいる家のリフォーム」とお伝えしました。
これは切実に思っていることです。
作業療法士時代に高齢者の方のいろんなお家を見て、「これは良い」と思えたお家はほんの数軒しかありません。
あとはみないろんな危険がいっぱい、後付けでなんとかしのいでいる、というお家ばかりです。
理想としては、まだ元気な年齢のうちに老後を見据えて家を整えたい。
「いや、まだまだそんな年齢じゃないし。」と思いますか?
残酷ですが、その日は突然やってきます。
どうしたら老後、快適に住めるのか、今の間取りをどうしたらいいか、考えてみます。
リフォーム 住宅改修 まず現状を知る 50代セミリタイア作業療法士の思い出
まず、うちの間取りの前に、よくある40〜50年くらい経つ団地の例です。
デイにいたとき、たくさんの方がこのような団地に住んでおられました。
1階に住まわれている場合、こういうお家が多いです。
(手描きなのでわかりにくくてすみません!)
右側が利用者さんのお家だったのですが、1階に住んでいるのになぜか階段が4、5段あります。
50年前くらいに建った団地の1階部分はまったくフラットなところは少なくて、たいてい数段の階段があります。
歩ける、階段が自力で上がれるならいいのですが、この数段が上れなくなったとき、大変です。
この4、5段をクリアすることの大変さ。
このような団地1階に住んでおられる車椅子ベースでほぼ毎日寝たきりの方がデイに来られていたとき。
行きは後ろ向きでゆっくり一緒に降りてくる。
帰りは車椅子を先に家の前まで持って上がる。
後ろから抱えて手すりを持ってもらって足を自分の足にのせて上げながら上る。
だんだん体力が落ちてこられて立っていることも大変になってきた頃は、もうほとんど全力で抱えて持ち上がる、というかんじでした。
しかも酸素吸入をされており皮膚がとても薄く、ちょっと力を入れるだけでも皮膚がめくれて出血してしまう、という方でした。
酸素ボンベをかついでその方もかついで、あまり力も入れられない、自分も踏み外さないように、という必死の送迎。
だんだん二人がかりでの送迎になっていきました。
数年前までアクティブな方だったそうですが病気になられてあれよあれよという間にいろんなことが困難になられていきました。
なんとも感じず上り下りできていただろう数段の階段が、そのときはもう必死。
1階部分でも階段があることで外出もままならなくなる。
そのような団地は家の中もコンパクトなので、ご家族によるトイレ介助などもさぞかし大変だっただろうと思います。
たぶん自宅ではリハビリパンツでなくおむつをされていたでしょう。
リフォーム 住宅改修 自宅での義父の介護 50代セミリタイア作業療法士の思い出
2年前まで義父の介護がありましたが、義父はまだ足腰が丈夫なひとだったので段差は気になりませんでした。
それでも当時、手すりをあちこちつけています。
玄関出てすぐ、玄関の上がりかまちのところ、廊下。
入浴はほどなくしてデイサービスでしか入らなくなったので手すり無しです。
今から5年前、義父は当時86歳、もうすでに認知症で自分の名前や生年月日は言えない状態でした。
2階で暮らしていましたが、わたしがたまたま風邪をひいて仕事を休んでいたときに2階から転んで頭を切ったのでその日から1階で暮らすようになりました。
膝に水がたまるようになっていて痛みを訴えるのと膝から下のむくみが大きかった。
1階に移ってからは階段の上り下りもなく外出したり歩くことも減り、ますますむくみはひどくなっていました。
デイサービスに通うだけの毎日でしたが体力はあったので日中のトイレはなんとか自分で行ってあとで確認、少しお世話するくらい。
しかし、亡くなる前、1年間くらいは夜のトイレの失敗が毎晩でした。
認知症のせいだけでなくむくみがひどくなったせいもありますね。
トイレの介助もそうですが、失敗したときの後始末など、和室だったし(汚れが取り切れない)トイレも狭いし大変でした。
いまの状態でわたしたちが30年後、1階で二人、暮らせるか、と言われれば暮らせないことはないと思います。
ただ、最悪の心身機能になったとき、全介助、もしくは全介助に近い状態になってしまったら。
たとえば夫がそうなってしまったら。
わたしの体力で介助はむずかしいです。
どうしたらよいでしょうか。
リフォーム 住宅改修 自宅の場合 50代セミリタイア作業療法士のプラン
わたしがいま住んでいる家の間取りです。
わたしが描いたのでふにゃふにゃで寸法もあってないかもですが、おおよそこんなかんじです。
1階部分
いまは2階で寝ていますが、80代、早くて70代。
2階はもう使わない、使えないと考えていてよいと思います。
まず、入り口から見てみます。
玄関
門扉があり、そこが1段高くなっています。
最初の関門です。
門扉の幅は小さい車椅子でやっと通れるくらい、そして段差があるので車椅子で過ごしていたとすると車椅子を傾けて段差を越えるしかないです。
それをこえても玄関の扉にいくまでにまた1段、高くなっています。
そして玄関は引き戸でなくよくある片開き戸と呼ばれる、いわゆる「ドア」。
ひと一人通れるくらい、狭いです。
中に入れたとしても今度は上がりかまちが待ち受けています。
そして玄関部分は車椅子が入るといっぱいになってしまうでしょう。
リフォームするなら
- 門扉はなくしてしまう
- 段差はなくし、スロープにする
- 玄関ドアは間口を広くし、引き戸にする
- 上がり框はなくす
これで段差はなくなり出入りしやすくなります。
居室
廊下はかろうじて車椅子が通れるくらいですが、部屋に入るのが大変だと思います。
手前の和室はいいですが、奥の台所の入り口が狭い。
リフォームするなら
- 台所の入り口を広げる
- 和室の畳はなくし、フローリング+床暖(清潔に保てる、暖かさ重視)
- 一部畳マットを置いて寝て、床に寝れなくなったらベッドに変える
家具も整理してしまいたいですが、義父がいたころはタンスに手をかけて歩いていたのでいちおう手すり代わりにはなります。
それでも手がすべってしまったり、あぶなっかしい。
床暖にするのは年齢がすすむほど暑さより寒さに敏感になるからです。
ヒートショックもあるので1階部分は昼夜問わず暖かい状態にしておくのが理想です。
どうしても畳に寝たい、というひとも多いので畳はあきらめてとりはずしできる畳マットにするなど。
トイレ
とても狭いです。
一人入ってちょっと前にスペースがあるくらい。
二人一緒に入るときつすぎてかがめません。
- トイレの奥に物入れがある(図では空白になっていますが)のでここをつぶしてトイレを広くする
- 入り口を引き戸にして広くする
風呂
脱衣所はありますが洗面や洗濯機があるので一人入るといっぱいになります。
風呂場にいくまでに段差があり危険です。
たぶん車椅子生活になり立位がとれず、歩行ができなければこの風呂での入浴は断念したほうが安全です。
まだ立位がとれ数歩歩ければ改修することで入浴はできますね。
- 入り口を引き戸にして広くする
- 風呂場の段差はなくす
- 脱衣所の中に縦手すりを設置、いったん立ってシャワーキャリー(車輪付き入浴用椅子)に乗り換え
- 湯船に脱着手すり、ボード(湯船の上に置けるタイプ)を置く
- 湯船の横壁にL字手すり、前壁に横手すりをつける
最低これだけあれば立ってボードに座り、手すりを持ちながら移動すれば湯船につかれます。
帰りはシャワーキャリーに乗り換えて身体をあらかた拭いて、手すりを使ってバスタオルを敷いた車椅子に座り変えてもらいます。
さらによく身体を拭いて衣服を着る。
台所
いま、戸棚やダイニングテーブルがありますが、整理すれば車椅子で台所に入って食事をすることはできます。
ものがあふれているのでできるだけ整理する必要はあります(この図には書いていませんが)。
大きな食器棚や食品庫などあまりにも収納家具が多いので台所は狭くなっています。
収納する場所が多いと必然的に食器も物も増えます。
入れるところを減らせば、あるものだけで済ませられます。
40、50代からリフォーム 住宅改修 50代セミリタイア作業療法士の願い
ざっとリフォーム、住宅改修ポイントあげてみましたが、まずやることは今あるものを整理すること。
でも、それがなかなかできないのですよね。
なにか起こってから住宅改修してもいいですが、ほんとうに大変です。
必要にかられて住宅改修するとなると、倒れてしまった家族の面倒も見なければいけない、住宅改修も考えなければならない。
そして部屋の整理や工事。。
体力も必要だしそれより精神的にかなり疲れます。
できない、とあきらめてしまうかもしれません。
もちろんできるかぎりの介護サービスを使って生活するとしても自宅で家族だけで過ごす時間はけっこう長い。
そして家族も不在にならざるを得ない時間も出てきます。
働き盛りの家族であれば仕事を辞めようとされるかもしれません。
元気がある年齢のうち、40、50代、せめて60代までに老後を考えて家を整える。
日々の生活に追われてむずかしい。。と思っていると、その日は突然やってくるのですよね。
お読みいただきあ、ありがとうございます。
この記事を2021年、まだコロナ自粛の年。
外には出て行きづらい年。
家の中をよく見て、未来を見据えて整理する。リフォーム・住宅改修するには絶好の年ですね。
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